地域に根ざしていくまちのベーカリー

仕事の休憩中、フラッとお菓子やアイスを買いに立ち寄っていた商店。気が付くと閉店していて、どこか寂しさを感じたのを覚えています。この場所は次は何になるんだろうか？

できあがったのは有名なパン屋さん、「パンとエスプレッソと」

当時の商店の面影を残していながら、今では地域の人びとの生活に根付いてきています。取材時にも顔見知りの方にばったり会ったり、「休憩ですか？」「ちょっと甘いもの食べたくなってね！」そんな会話が日常的に店内から聞こえてきます。今回は、パンとエスプレッソと由比ガ浜商店 店長の齊藤圭太さんにお話を伺ってきました。


――お店はいつオープンしたんですか？

2022年8月11日ですね、オープンしてから4ヶ月ほど経ちました。


――オープン当初と比べて、何か変化はありますか？

開店当初に比べて、多くの方にお店の存在を知っていただくことができたのではないかと思っています。 ありがたいことに、地元の常連さんも少しずつ増えています。それから、かつて商店だった時代にあった、カウンターを活かしてたばこの販売を始めたり、パンの種類が増えたりと、よりお客様に喜んでいただけるよう日々変化していますね。


――「パンとエスプレッソと」は日本各地、さまざまな場所に出店されていますが、店舗ごとに特色はあるんですか？

店によってコンセプトはさまざまで、由比ガ浜商店は鎌倉の町に馴染むように古民家の雰囲気を活かしてリノベーションされた外観が特徴的です。パンの種類もそれぞれで、オリジナル商品も多いです。由比ヶ浜商店はデニッシュ系のパンがとても人気ですね。各店舗の違いも楽しんで頂けたらと思っています。

――昔ながらのまちの酒屋さん「栄屋商店」だったころの面影を活かしてリノベーションした素敵なお店ですね。

鎌倉のデザイナーの方々にも協力していただき出来上がりました。旧テナントの栄屋商店の頃のお客様が、「ここってこんなに変わったの？中を見て行ってもいい？」 と興味を持ってくださり、「パンとエスプレッソと」に代わり継いだ今も利用してくれることがとても嬉しいですね。店名に「由比ガ浜商店」と入っているのも「栄屋商店」をリスペクトしたもの。建物の面影だけでなく、まちの商店だったころの地元のお客さまとのコミュニティの面影も感じていただけて、ベーカリーカフェを超えた、まちに愛されるようなお店となれたら嬉しいですね。

――お客さんは地元の方と観光の方、どちらが多いですか？

今は地元の方が少し多い印象です。お客さん同士が実はご近所の方で「あれ！来てたんだ！」なんて光景はよく見かけますね。その様子を見ていると、地域の人びとの繋がりを感じられて素敵だなと思いますね。


――店長さん(斉藤さん)の地元はどちらですか？

地元は埼玉の川越です。古い文化や地域性を大切にしていたり、観光地でありながらまちに根差して暮らしている人々も多くて、地域の強い結束力を感じる部分が、鎌倉に似ています。


――鎌倉に移住してきたとのこと。生活に変化はありましたか？

休日に浜辺でのんびり過ごすようになったことでしょうか。
海有り県は素敵です。


――お店で働くスタッフさんは、地元の方と移住してきた方、どちらが多いですか？

実は、地元のスタッフはあまりいません。鎌倉が好きで引っ越してきてこの辺に住んでいるというスタッフが多いですね。


――今、スタッフさんは何人くらい働いているんですか？

現在はフロアスタッフと製造のパン屋さん合わせて、10人程です 。


――お仕事の内容は？

フロアスタッフは、お客さまのご案内、レジ接客、お客さまへの提供、コーヒーをはじめとしたドリンク提供と簡単な調理です。 製造スタッフはパンの製造と商品の開発ですね。


――製造スタッフとして働くには経験や資格が必要ですか？

製造スタッフは、前職でパンやお菓子を作っていた人が多いですが、未経験でもサポートするので安心して応募していただければと思います。


――お店ごとに商品のラインナップが違うとのことですが、スタッフさんの考えが採用される社風なんですね！

やりたいことの案は、社員だけでなくアルバイトのスタッフからも採用されます。 働いているスタッフ全員の意見を取り入れ、みんなで新しいものを作っていこうという考えですね。新作のパンやメニューを作る時は、「こういうパンがあったらお客様に喜んでいただけそう！」「こういうパン、美味しそう！」とスタッフ同士で話し合っています。

誰の意見でも取り入れられるので、みんなモチベーションが高いです。一度自分の意見が取り入れられた商品ができてお客様に喜んでもらえると、やりがいを感じてまたやりたいなと思いますね。やりたいことを形にするのも結構体力を使うと思うのですが、うちのスタッフはみんなそこに真っ直ぐで、常にアイデアを出し合っていて、チームワークが強いと感じますね。


――これからどんな方に働いて欲しいですか？

お店のコンセプトや、私たちが大事にしてるもの、価値観に共感してくださる方だと嬉しいです。このまちとお店に愛を持って働いていただきたいですね。


――最後に、お店の大切にしているコンセプトを教えてください！

ベーカリーカフェだけど、それだけの枠にとらわれないようなお店を目指しています。昔ながらの商店みたいに、パンひとつ、タバコひとつ買いに来る人、来たら誰かと会えるかなとフラッと利用してくださる人、近くで働いていて休憩時間に来てくださる人。お店を利用したことで、なんか今日いいことあったなと、来た時よりもいい気分になって帰れるような場所、というのがコンセプトです。