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おでん「幾与久」店主で、美術商の岸本孝二さん

(おでん)一つひとつの具材が一番おいしいタイミングを見極めて提供できるように準備をします

(料理のボード) Instagramでお知らせしている酒肴は、季節の食材を織り交ぜたお任せ3品

(おでん鍋) 届くまで3カ月掛かったという、老舗料理道具屋「釜浅商店」(東京・浅草)特注の打ち出しおでん鍋

(食器棚) 織部、伊万里、備前など、自宅用に買いためてきた器を入れ替えながら使用

(お酒の瓶) 「一年どころか十年通して同じ(笑)」と、お酒も店主が好きなものを。桜正宗、桜正宗から出している冷酒「瀧鯉」、芋焼酎2種

(泡盛古酒と甕出し紹興酒) 沖縄の泡盛も。店主がおいしいと飲み続けているお酒が並びます

(3種のソース) おでんのソースは自家製柚子味噌のほか3種(沙茶、チリ、マスタード)

(外観) 長谷駅から鎌倉大仏方面に向かってすぐ、この外観が目印。新しいお店ができたからと、「ふらっとショップカードを受け取りに来てくださる地域の方もいらっしゃってうれしいです」

(メニュー) お酒をおいしくさせる、酒肴の品々。〆はスープまでおいしい沖縄そばで

(店内) 席はカウンターのみ。最大8席と小さなスペースだからこその居心地の良さ

「おいしい」の先にある、65歳の挑戦

鎌倉市長谷2-14-17
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「おいしいお酒を飲みたい」と料理を独学で追求し続ける、美術商の岸本孝二さん。情熱はとどまることなく、ついにおでん屋「幾与久(きよひさ)」を長谷に開くほどに。45年間、銀座で美術商のキャリアを重ねてきた岸本さんがなぜおでん屋を?なぜ鎌倉で? 尽きない疑問を解消すべく、昼スタッフの募集を始めた岸本さんに話を聞きました。

美術商が始めた、8席だけの店
国内外の近代美術を扱う銀座のギャラリー勤務を経て独立し、自身のギャラリーを営んできた岸本さん。昨年、美術商として45年間過ごした銀座を離れ、二階堂の自宅に事務所を移し、そして一息つく間もなく、この春には長谷でおでん屋の幾与久を始めた。

「東京までの通勤がなくなって時間に余裕ができたので、料理の世界でお店を展開しようかなという気持ちになりまして。この年齢になると新しいことを始めるには躊躇するものですが、そうなったらそのときに考えればいい。いま元気なら時間と体力が許す限りやろうと思いました」

職住近接だから叶う、65歳の挑戦。きっかけのひとつはコロナ禍で自由に使える時間が増えたことで、夫婦の夕食を岸本さんが楽しんで作るようになったことだった。得意の中華料理に加え、和食、フレンチ、イタリアンとレパートリーは多彩。そんな岸本さんがお店のメインに日本のソウルフードともいえる「おでん」を選んだのはなぜだったのだろう。

「おでんはアジアを俯瞰する」
幾与久のSNSのプロフィールに「おでんはアジアを俯瞰する」とある。

「アジアには、おでんに類似する文化形態が各地にあるんです。出汁も違えば内容も香辛料も違いますが、そこには共通点が三つある。それは魚介の練り物を使う、豆腐を使う、そして屋台で食べさせること。日本のおでんも元は店舗を構えず屋台から始まったんですよね。日本の伝統は保ちつつ、出汁、具材、薬味、酒肴に各国の文化を活かして新しいおいしさを提案していきたいという思いを、この言葉に込めました」

アジア各地のおでんについて岸本さんは語り続ける。

「マレーシアは釀豆腐(ヨントーフ)。フレンチでファルシといわれる詰め物のことで、豆腐に魚の練り物を詰めた串料理を汁の中から出して、からしをつけて食べたりするんです。初めて見たときはびっくりしました。台湾は黑輪(オーレン)。具材がいろいろ異なり、もち米を豚の血で固めたものも。マカオは出汁がカレー味なんですよ」

深い探求心にあふれた岸本さんのおでん話を聞いていたら、長谷のまちなみが浮かんできた。日本の伝統美が息づく地域に個々の文化を大切にした観光客や移住者が国内外から集まり、思い思いに自分らしく過ごす。それはまさに、岸本さんが目指すおでんの楽しみ方に重なった。

すべてのアンテナは、すべてに通じる
一見すると、共通点のなさそうな美術と料理の世界。それでも「文化や芸術から入った人も、突き詰めると『食』に行き着く」と岸本さんはいう。

「歴史を振り返ると、プロの料理人以上に料理やお茶、器に対する知識があり、著名人に自分の料理を振る舞うだけでなく、詩を読んだり、日本古来の茶器まで自分で作ったりしてしまう人たちがいました。分野を超えて内部の繊細なところで触れ合うのが美意識。すべてのアンテナはすべてに通じるのでしょう」

日本画家の小泉淳作に、銀座で画商をしている時代からかわいがってもらった。「鎌倉建長寺や京都建仁寺の天井画、奈良東大寺の襖絵などを手掛けられた大変な日本画家で。鎌倉に移住したのも先生に勧められたからなんですよ。中華を作って差し上げたら喜んでいただけて、客人が来るたびに作って差し上げるようになりました」と懐かしそうに当時を振り返る。

料理を提供する機会が増えるにつれて料理の評判が広がり、小説「鞍馬天狗」などで知られる作家の大仏(おさらぎ)次郎の養女、野尻政子さんが開く食事会でも担当。そこで日影茶屋の先代社長と出会い、同社のフレンチ・レストラン(現ラ・マーレ)などで年一度の中華フェアをプロデュースしていた時期もある。
こうした経歴を持つ岸本さんが自身の店を持つことは至って自然の流れのように映るが、本人は根っからの食通で「自分が食べたいと思うものを作りたいだけ」と、最近まで飲食店経営には興味がなかったという。どういった心境の変化が起こったのか。

「自分が食べておいしいか、おいしくないか。そこはブレていないです。でも昔はあまり人を喜ばせたいとは思わなかったけど、年を取ったからか今は好きです。人が飲んで食べてうれしそうな姿を見るのも、お客さまの反応を直接見るのも、なんとなくいいものですね」

夏季限定、おでん屋の「昼の顔」にぜひ
まさにこうした思いで接客に当たってくださる方を2名募集します。今回新たに募るのは、6月半ば~7月上旬から勤務開始できる昼限定のアルバイト。岸本さんは仕込みの仕事があるため、昼の接客サービス全般を飲食店経験者のスタッフにお任せできればと考えています。
通常は夜営業のみですが、おでんのオフシーズンにあたる夏季のみ限定メニューで昼営業を行う予定。定食や沖縄そば、かき氷など夏メニューを検討中です。

「楽しいということは自分の感性が開放されるということだから、料理もお酒もシンプルに楽しむことが一番大切だと思います。ですから、お客さまの様子や反応を受け止めながら、きちんと対話できる方がいいですね」。

自分が食べたいものをすべての原点に、お客さんと楽しさを共有できる空気感を大切に思う人にぴったりのお仕事です。

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求人詳細データ

求人ID:
0020
職種 :
ホールスタッフ
仕事内容 :
接客サービス 他
勤務地 :
鎌倉市長谷2-14-17
勤務時間 :
11:00~15:00
休暇・休日 :
シフト制
給与・待遇 :
時給1,200円
交通費 :
支給
有給休暇 :
会社名・店名 :
おでん幾与久
備考 :

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