このまちで美味しいラーメンをつくり続ける

“ラーメン”それは丼の中ですべてが完結し、店主の想いが込められる品だ。

由比ヶ浜通りに店を構えるラーメン専門店「HANABI（ハナビ）」 のラーメンは、 どこか懐かしさを感じさせる魚出汁のスープと小麦の香り豊かな細麺との相性がとても良く、具材一つ一つと全体の調和を感じることが出来る１杯である。

そのようなラーメンを出すHANABIは、地元に住む方々にも愛される人気店だ。
今回は、店主 伊藤 幹記さんに仕事へのこだわりとラーメンへの愛について聞いた。

30歳までに鎌倉で美味しいラーメン屋を出す

「大学を卒業して、社会人2年目くらいの時に30歳までにラーメン屋をしたいという想いを抱き始めました。開業資金を準備する為に社会人として4年働き、その後、会社を辞めてから3店舖で修業をしたのちに、自分自身が美味しいと思えるラーメンをつくることが出来るようになり、目標であった30歳までにラーメン屋を開くこととなりました」

サラリーマン時代に抱いていた目標を叶える。その過程において、きちんとした想いがあり、その想いを叶えるための計画があったからこそ出来たことである。そして、店を始める際に抱いた想いを今も変わらずに持ち続けている。

「僕は鎌倉で生まれて、鎌倉で育っているので、鎌倉で美味しいラーメンをまちのみんなに食べてもらいたいと考え、様々な物件を見る中で、生まれ育った場所にも近く、自分が一番しっくりと感じることが出来た由比ヶ浜通りのこの場に店を構えました」

自分の生まれ育ったまちで、自分が好きなことで、まちに還元する。多くの人の夢でもあるとは思うが、同時にとても難しいことでもある。伊藤さんは、どのような想いで仕事に向き合っているのだろうか。

今も変わらぬラーメンへの愛

「HANABIを運営する中で、最初から変わっていないのはラーメンに対する愛情ですね。もっと良いものを作っていきたいと常に考えています。それが連綿と繋がっていき、今のHANABI のラーメンが出来ています」

地元の方に長く愛される人気店だからこそ、時代に合わせて試行錯誤を繰り返していく。今、自分が1番美味しいと思うラーメンをつくることが出来ているから、開業から18年を経た今でも、多くの方が訪れる店であり続けている。

「ダイレクトにお客さんが美味しいと言ってくれるのは一番うれしいですね。 そこが一番のやりがいだと思います。自分が作りたいものを作っているので、常に真剣に取り組んでいます。毎日は同じようで、天侯などで麺の出来上がりは、実は微妙に違います。その微妙な毎日の変化に気がつくことで、美味しいラーメンを出すことが出来ていると考えています」

様々な目で仕事をみつめる

「HANABIでは、アルバイト自身が自分で考えて仕事をする文化があります。アルバイトの方の中には、アルバイト教育のマニュアルを作ってくれた方もいます。それにアップデートを加えながら今も運営をしています。そのようなマニュアルはあるのですが、自分で工夫しながら仕事をするアルバイトの方もいて、今までの視点にはないところを知ることが出来て、僕自身にも学びになることもあります。そういう方と働ける時は嬉しいですね」

ラーメン屋の修業だけではなく、社会人の経験がある伊藤さんだからこそ、様々な視点をもつことの大切さを実感し、様々な意見に耳を貸し、活かせることは活かしていく。それは一貫して、より良いラーメンをつくりたいという想いからくるものだ。

「マニュアルを作ってくれたアルバイトは、今では小学校の先生をしています。その時から、分かりやすく伝えることは上手いなと感じていましたが、HANABIでの経験が今に繋がっているところもあるのかなと感じています。HANABIでの仕事を通して学んだことを、その後の人生においても活かしてもらいたいですね」

ラーメンを通じて、お客さんには’’美味しい’’を届け、働く人には’’たのしい’’を届ける。ラーメンや食べることが大好きで、仕事の中で工夫をすることが好きなひとにとって’’たのしい’’仕事場になるはずだ。

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取材・執筆 :木村 歩