幸せを形にする彫金工房で腕を磨く

鎌倉は由比ガ浜通りを歩いていると、季節ごとに移り変わる美しい花々と、壁一面を彩るステンドグラスの様なカラフルな窓が目をひくかわいらしい建物があります。

中をのぞくと、いつも人々の幸せそうな笑顔で溢れているアトリエです。
2016年に、大手ジュエリーブランドで原型師を務めた経歴を持つ代表の内野健治さんのアトリエとしてオープンした彫金工房「ワークスタジオ瑠花」は、今や日々お客様が集まる鎌倉の有名店です。鎌倉旅行の記念になるようなカジュアルな製作体験から、一生の思い出になるようなブライダルリングのセルフメイド・オーダーメイドまでさまざまなジュエリーを、熟練の職人の方々にサポートしてもらいながら制作することができます。

日々多くの人が訪れるワークスタジオ瑠花。「ジュエリーづくり体験」やブライダルリングのために遠方から訪れるお客さんの中には、国内だけでなく海外の方も。また、地元の方の中には、リングの制作はもちろん、メンテナンスのために通う方もいらっしゃるそう。時にはご近所さんからのオーダーも。片方を失くしてしまったイヤリングを複製したり、ジュエリーのことで困ったらどんな相談にも乗ってくれる、頼れる親切な「まちのジュエリーショップ」です。
工房は、メンテナンスや研修の日以外は無休で営業。オーナーの内野さんは必ず毎日工房に立っています。鎌倉の人びとに「働きすぎ！」と言われても、「喜んでいただけるなら毎日お店を開けますよ」と笑顔で答える内野さんからは、仕事への愛とお客さんを思う気持ちが感じられます。

ジュエリーで「幸せな思い出」を凝縮

誕生日、入学や卒業、就職、結婚、人生の節目の記念として、思い出を形に残すためにジュエリーを選ぶ方も多いのではないでしょうか。そして、大切な誰かに贈ったり、受け継いだりと、人から人へとさまざまな想いを込めて手渡されるもの。工房を訪れるお客さんには、それぞれのストーリーがあり、そんな「幸せの形」を凝縮していくのがジュエリーの役割かもしれません。

「お客さんとのやり取りで、記憶に残っている出来事はありますか？」という質問に、内野さんをはじめスタッフの皆さんが「ありすぎて選べない…」と悩まれていました。そんなところからも、全ての仕事に対して熱心に取り組んでいることが汲み取れます。
仕事への姿勢は、お客さまにも伝わっているのだなと感じたエピソードが、内野さんが感謝しているというあるご夫婦のお話。
「開業して間もない頃に、婚約指輪をオーダーしてくださったお客さん。最初は、結婚指輪の相談で来られたんです。婚約指輪も考えていたものの、まだお店にも行っていなくてという感じで。その時に作った結婚指輪をとても気に入って、少ししてから『やっぱり婚約指輪も内野さんにお願いしたい』と言ってくださって。転勤で遠方に引っ越されていたのですが、オンラインでやり取りしてお作りして、今でも連絡が続いています。家族が増えました、なんて嬉しい連絡をもらったりもしています」

オープンから7年、お客さんとそんな関係性が広がっているのが嬉しいのだそう。エンゲージメントリングから、ウエディングリング、子どもが生まれたときのベビーリングやベビースプーン、もちろん日々のメンテナンスやリペアまで。指輪の製作が終わった後も関係が長く続いて人生の節目に立ち会えるというのは、この仕事ならではなのではないでしょうか。

「頼れる職人」でありたい

「大切なジュエリーの制作にこの工房を選んでくださったお客さまには、幸せな思い出をより輝くものにできるような体験をしていただきたいんです。個々のイメージやこだわりを聞きながら形にするのは、難しい仕事。どんなに打ち合わせを重ねても、デザインが変更になって作り直すことだってある。そんなことがあっても、常にお客様に満足していただけるものを作れなくてはならない。職人としての仕事をするうえで、技術はやはり大切だし、経験や資格はお客様に安心して任せていただくための一つの指標だと思っています」と内野さん。

その言葉通り、お客さんのいない時間にはスタッフの方々が熱心に練習や道具のメンテナンスをしています。資格取得のための技能試験前には練習の時間を設けているほか、専門学校の講師を務めていた内野さんの指導やアドバイスを受けることができます。将来独立を目指す方にも良い環境です。


ワークスタジオ瑠花のモットーは、『お客様も、スタッフも、みんなで楽しむ』こと。職場はとてもアットホームな雰囲気で、皆さんとにかくジュエリー製作が大好き。仕事前や空いた時間には自分の製作活動にお店の機器を使うことができたり、仕事終わりには近隣のお店にスタッフみんなで飲みに行ったり。仕事仲間でもあり、同じ趣味の仲間でもあるというところも、“職人”の職場ならでは。そしてもう一つ、スタッフにとってうれしいポイントは、「18時にちゃんと仕事が終わること」。都内のジュエリーショップや工房で働いていると、お店の閉店時間が20時~21時ごろ、それから残業をして工房に籠り続け、なかなか自分の時間を取ることができないというケースも少なくはないのだそう。「職人がしんどいって思いながら働いていたら、お客さんも楽しめない。お互いに楽しく仕事をするためには、やはり息抜きは必要だと思います。鎌倉は、少し散歩するだけで自然があって癒されてリフレッシュできる。せかせかしていなくて、ある意味頑張りすぎない環境が、居心地いいですね」

ゆったりとした鎌倉の地、アットホームな雰囲気の工房で、職人としての腕を磨きながら独立を目指したいという方には、瑠花での仕事がピッタリかもしれません。

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