BLOG「葉山下山口K邸「樹のある家」」
第1回 鬱蒼とした土地
2014年秋、Kさん一家と我々エンジョイワークスは、葉山町下山口のとある土地を見に来ていました。
下山口は、長者ヶ崎を回れば横須賀市という、葉山町でも最も奥に位置するエリアです。そのためか、堀内や一色に比べると、湘南暮らし初心者には少しハードルが高いと思われがちですが、実は葉山公園やそれに続く美しい海に出やすく、一方で山の美しさも身近に感じられる自然にとても恵まれた場所。幼稚園や小学校も近く、ローカルコミュニティーも発達していて子育て環境も良好な、バリューの高いエリアなんです。
そんな下山口に一旦住むと、その暮らしやすさが大好きになる人も少なくありません。このお話の主人公であるKさん一家もそう。下山口の味のある平屋で数年暮らし、子どもたちものびのびと育ってきた今、このエリアに家を建てようと心を決め、じっくりと土地探しをしていました。
その甲斐あって、現在お住いの平屋からほど近い場所に、土地が出ました。資料の数字を見てびっくり、なんと100坪ほどもある広大な土地です!それが、思いの外リーズナブルな価格で出たのです。
「こんなに広い土地が、なんでこの価格で…?場所も悪くないし」
Kさんも我々も気になって、すぐに現地へ赴きました。そして、記された住所に行ってみると…
笹薮の壁が!
敷地の様子が全然わかりません。
とりあえず朽ちかけた古家が残っている様子。
これはリノベーションとかいうレベルではない…
反対側にも木がおい茂っていて、とにかく奥へ進めない!!
しかもこの土地に接する道路はこんな細さ。
いわゆる「建築基準法第43条第1項但し書き道路」というヤツです。どんなヤツかは追い追い述べるとして、今ここでは「めんどうなヤツ」とだけ言っておきましょう。
そんな土地を目の当たりにしたKさんご夫妻。
さて、どんな反応を示すのでしょうか…?
第2回 43条但し書き
葉山町下山口に出た100坪の土地。
ところが生い茂る樹木で敷地の全容が見えないのに加えて、廃屋となった古家あり。しかも接道は細く、家を建てるには行政に許可を得る必要があるというかなりアゲンストな状況。
果たして、Kさんはここに家を建てるのか?
ここで、今回の道路についてちょっと触れておきましょう。
国が定めた建築基準法では、規定を満たす道路に接していない土地(たとえば道路がない、道幅が極細など)には原則的に建物を建ててはいけないことになっています。これは、交通や安全上支障が生じないことを目的としたもので、火災時には消防車の進入や消火活動の妨げにならないことも考慮されています。
しかし、道路状況が規定に合わない場合でも、敷地の周囲の状況や建物の条件によっては建築を許可される場合があります。その条件を記したのが「建築基準法第43条第1項」の「但し」以下の文章になり、このことから不動産業界ではこのような道路状況のことを通称「43条但し書き」と呼んでいます。
今回の道路は、昔はこの一帯が農地だったからなのか、いわゆる畦道のような細さ。通常なら建築物は建てられない所ですが、周囲にもすでに何戸も住宅が建っており、敷地面積も十分に広いため、行政に申請を出せば許可がもらえる可能性はあります。
とは言え、申請を通すには提出書類をかなり綿密に作る必要があるし、不備があれば何度も差し戻されることもあり、審査会を通過する100%の保証は誰にもできない話。時間もエネルギーもかかります。
時を同じくして、今回の対象地のお向かいの元田んぼだった土地にも買い手がつき、セットバックと造成の工事が進んでいました。
いろいろと考えた結果、Kさん一家の出した結論は
「買う」!
「今は車が入れないけど、お向かいさんがセットバックしてくれたから、将来的にこの道の途中の家に建て替えなどがあれば車が入れるようになる可能性は十分にある。気に入っている下山口に、この規模の広い土地をこの価格で手に入れられるチャンスは、そうそうあるもんじゃない。」
Kさんはそう決断したのです。
これだけ土地が広ければ、家庭菜園もできる、庭でたっぷり遊べる、近所の友達がたくさん集まる場所になる。夢が大きく広がってきました。私たちもワクワクです。
Kさんがその気なら、全力でサポートするしかない!
今はこんなジャングルだけど…!
そして程なく土地の契約を経て、まずはこのジャングルの伐採と古家の撤去から始めることになりました。
第3回 伐採と解体
葉山町下山口に出た約100坪の広大な土地。崩れかけた古家、鬱蒼と生い茂ったジャングルのような樹木、43条但し書きの極細な接道…。そんなアゲンストな状況にもかかわらず、このエリアの住み心地の良さといろんなことができる土地の広さから「買い!」を決断したKさんご一家。
そんな彼らの夢を叶えるべく我々も全力サポートということで、まずは神奈川県建築審査会への申請のため、複数の役所窓口を何往復もしつつヒアリングや図面・書類の準備。道路河川課、建築指導課、下水道や消防も…。当たり前ですがかなり細かいチェックが入ります。許可をもらうためには、ほとんど本番と同じような厳密な図面や書類が必要であるため、お施主さまとも早い段階から家の細部まで打ち合わせをしながら図面を起こします。
そうして、建築許可の目処が見えてきたところで、現場ではジャングルの伐採と古家の解体に取り掛かりました。
前面の笹薮を刈って見えてきた古家の姿。
やはり復旧はちょっと現実的ではない状態。
ジャングルどこまで続く〜?
この段階で、外構のスペシャリストYARDの梅津氏に、残すべき樹木を指示していただきました。こんなジャングルの中なのに、瞬時に庭の仕上がりをイメージして残す木に印をつけてくれました。さすが!
伐採がひと段落したところで、古家の解体。
なにせ広大な敷地です。約半月以上もかけて伐採と解体が行なわれました。解体後のこの散乱物も片付けなきゃ〜。
いやはや、大きな土地は大変です!
第4回 石がゴロゴロ
生い茂るジャングルのような樹木の伐採が終わった、葉山町下山口の100坪の土地。やれやれ、やっと更地になったかー、と思いきや…
石がゴロゴロ出てきたんです!
一つ片付いたかと思ったら、またもや課題が。
石は1つひとつ結構大きく、これらを処分するとなるとさらに費用がかさみます。しかもこの状況は、あのように樹木や古家に覆われていた状況下では知る由もなかったこと。
土地の売主に事情を相談すると理解を示してくれて、「土地の瑕疵」ということで石の撤去費用は負担してくださることになりました。
関係者一同、ホッ…。
その後、散乱していた解体ゴミと石の撤去が終わったところで、仕上げには樹木の伐根。深く根を張っていた立派な木もあったので、切るだけでなく根っこからしっかりと抜いておく必要があるのです。ここはショベルカーの出番。
同時に、配管検査も行います。
土地の図面に記された配管がちゃんと通っているか、不具合はないかを確認しておく作業が必要です。手作業で掘って確認します。
そして、ようやく土地がきれいに整いました。
あの鬱蒼とした状況からは想像だにできなかった、広々として空がスカッと抜けた、素晴らしい光景が現れました。
紆余曲折、すったもんだを経てたどり着いたスタートライン。
ここからいよいよ、新しい家づくりが始まります。
第5回 2本の大樹
ジャングルを取り払い、朽ちかけた古家を撤去し、転がり出てきた石たちを処分して、ようやくきれいな更地になった葉山下山口K邸の敷地。
面積は約100坪。
周囲には美しい葉山の山並みを見渡せる静かな環境です。
接道が細いという事実はあるものの、その43条但し書きの接道が幸いしている点もあります。一つはこの面積に比してリーズナブルな価格で手に入れられたこと。
そしてもう一つは、隣家にもだだっ広い何もない土地がそのまま残されていること。この空き地には芝生が植えられ、借景ながらそのみずみずしい緑は目の覚めるような美しさだし、建物が建っていない空の開放感は格別です。
そんなK邸の敷地を上から見渡せる場所に小道が通っており、そこからは伐採せずに残した2本の大きなシンボルツリーがよく見えます。
実はこの土地が出る以前から、奥様はこの小道を散歩しながら
「あの大きな樹はなんだろうなぁ」
と思っていたそうです。樹が呼び寄せてくれたのかもしれませんね。
更地になった敷地で、この日は奥様に立ち会っていただきながら、建物の位置にロープを張る「地縄」の作業を行いました。図面を一緒に見ながら、建物を建てた時の周囲の見え方や、建物以外の敷地の状況がどのようになるかなどを確認していきます。
この2本の大樹の間にハンモックやブランコを吊るしたり、木陰でみんなでごはんを食べたり、素敵な思い出がたくさん生まれそうです。一家を守ってくれているような不思議な安心感がありますね。
そして8月、県に申請していた建築の許可が無事に降りました。
待ちに待った家づくりがいよいよ本格始動です!
初秋のある日、地鎮祭を行いました。
Kさん一家は近い未来住むことになる新しい土地に歩いて向かいました。大好きな下山口に家をつくれる喜びが一歩ごとに伝わってくるようです。
この子どもたちと共に過ごし育んでいく新しいスケルトンハウス、今後の進捗が楽しみですね!
第6回 基礎固め
地鎮祭を終えた葉山下山口K邸、続いては建物を建てる前に「地盤補強」を行います。
地盤補強には方法がいくつかありますが、それぞれの土地の要件と照らし合わせて最適な方法を選びます。今回のK邸では、接道が細く大型の重機が進入できない中でも、最も効果の高い方法ということで特殊シートによる方法を採用しました。
地盤改良する部分の地面を掘り、砕石を均等に敷き詰めて圧力をかけ、押し固めます。その上に特殊シートを張り、また砕石を敷き詰めて圧力を加えるというサンドイッチみたいな方法です。
そうして地盤が強固なものになった所へ、いよいよ建物の土台となる基礎をコンクリートで打設していきます。
まずはコンクリートを流し込むための型を設置。シンボルツリーの2本の大樹の向こうに、頑強そうな枠組みが見えますね。
正面から見ると、この後に乗っかる建物の間取りを考慮して枠が組まれているのが分かります。K邸はスケルトンハウス史上最大級の33坪の建物。スケルトンハウスの基礎はシンプルな田の字型の枠組みが多い中で、ちょっと形が違います。この枠組みの中にコンクリートを流し込んで固め、基礎が出来上がります。
さて、次回はいよいよ上棟!
第7回 スケルトンハウスが頑丈な理由
快晴の葉山。
爽やかな秋風の吹く中、いよいよK邸は「建て方」の日を迎えました。
建て方というのは、家の骨組みとなる柱や梁を組み上げる工程のことで、この日は大勢の職人が結集し、棟梁の仕切りの下で、みんなで力を合わせて一気に躯体を組み上げます。ここまで地面に基礎があるだけだった所へ、1日にして建物が立ち上がる様は、何度見てもエキサイティング!
その中でも天辺の梁が設置されることを「上棟」と言い、この工程のクライマックスです。
柱に寄って見ると、何やら振り子のような円錐状のものがぶら下がっております。これは「下げ振り」と言って、柱がちゃんと真っ直ぐになっているかを正確に測るための道具。スピード感のある中でも、決める所はきっちりと決めていくのがやはり職人技。
さて、スケルトンハウスの躯体は、次世代にまで長く住み繋いでもらえるように、非常に「頑強」な造りになっています。その耐久力の一端を担うのが、この「梁」!
見てください、この太さ!
この梁は、強度の高い木材を集積してさらに強度を増した「エンジニアリングウッド」と呼ばれる強靭な集成材。密度が詰まった感じでずっしりと重く、1人や2人ではとても持ち上げられないほどです。
ええ~い!
大の男が何人も力を合わせて、梁を持ち上げます。
実はK邸、接道が細くてクレーンが入らないため、全て「手上げ」なんです!
持ち上げた梁は、上で待ち構えていた職人がキャッチ。あらかじめ取り付けてあった接合部の金物へ差し込んでいきます。
スケルトンハウスでは、建物の柱や梁はすべて木材ですが、その接合部には「HS金物工法」と称される工法を用いています。「HS金物工法」とは簡単に言うと接合部に金物を使い、構造耐力を従来に比べ大幅にアップできる工法です。
昔ながらの木造軸組工法では、大工さんが仕口やホゾを加工して柱と梁を組んでいましたが、この金物工法によって、耐力に加え工事のスピードも大幅にアップしました。
33坪という最大級のスケルトンハウスでは梁の本数もいつもより多いのですが、この作業を1本1本集中力を持って進めていきます。
第8回 上棟、そして…
澄み渡る秋晴れの中、早朝から始まった葉山下山口K邸の建て方。
クレーンの入らないこの土地で、スケルトンハウスの頑強な躯体を支えるだけの耐力を持った重い太い梁を、すべて人の手によって1本1本上げていく作業が、午後を回ってようやく終わりを迎えました。
スケルトンハウスは、長期に渡ってその構造を維持できるだけの強度を、室内の柱や壁に頼らずに確保している点が大きなメリットでもあります。
写真にあるような強靭な集成材と、接合部に「HS金物工法」を用いることで、箱(スケルトン)の耐力を十二分に担保できるため、室内には柱や壁に遮られない大空間を生むことができます。その結果、住む人が間取りや仕上げを好きなように施すことができ、ライフスタイルの変化に合わせて作り替えもできるという、自由で可変性のある内装(インフィル)が実現可能となっているのです。
スケルトンハウス史上最大級の面積の屋根を支えるだけの梁が、しっかりと設置されました。整然と並んだ感じが合理性を感じさせて美しいですね~!
一気に建物らしくなりました!
K邸、ついに「上棟」しました!
この日はその後、外壁の下地を貼る作業へと突入。
いつの間にか日が傾き、西の空がピンク色に染まる頃、K邸の屋根に上ると、淡い紫とグレーの混じり合った富士山のシルエットが見えました。
「おつかれさま、良かったね」
富士山がそんなふうに言ってくれているように思えた、この日の夕焼けでした。
第9回 柱なしの大空間
山の景色が美しい葉山下山口で着々と工事が進む、スケルトンハウス史上最大級のK邸。100坪もある広大な敷地に、シンボリックな2本の大樹、そしてその向こうに、だいぶ家らしい姿になってきた建物が見えます。
今日は上棟後の確認のため、弊社設計士が現場を訪れています。
設計通りに躯体が出来上がっているかどうか、大切なチェックです。まだ灯りの点いていない室内は、大きな祠のようですね。
非常に頑強なスケルトンハウスの躯体。それを支えているのが、強靭な耐力を持つ集成材と、その接合部に用いている「HS金物工法」です。
マス目状に整然と組まれたスケルトンハウスの躯体。これによって「箱」としての強度が確保されるのです。
その結果生まれるのが、この柱なしの大空間!
気持ちいいですね~!
スケルトンハウスでは、標準的には1階に1本だけ柱があれば躯体を保てる構造のため、2階はこのように柱がない体育館のような空間を得ることができます。
(※もちろん、家のサイズその他の要件により柱が必要になることもあります)
ここを大空間のまま使ってもいいし、子どもたちの成長に合わせて、後から部屋を設置することもできます。
上棟後の確認では、問題はありませんでした!
外に回ってみると、2階のバルコニー部分の工事が始まっていました。
この後は外壁、そして室内の工事が進んでいきます。
第10回 いろんなものの仕舞い方
今日は葉山K邸のややマニアックな部分にぐっと寄ってお届けします!
次世代までも住み繋げるような、長持ちする家を目指すスケルトンハウス。家の寿命にとって「雨の始末」をどうするかは、非常に重要な問題です。
まずはK邸の屋根をズームアップ。
この屋根の素材はガルバリウム鋼板と言って、屋根や外壁などにはよく用いられるもの。丈夫でサビに強く、風雨などに対する耐久性に優れているのが特長です。
そしてスケルトンハウスの屋根はこのように一見すると平らに見えるのですが、実はうっすらと一方向に傾斜が付いているのです。いわゆる陸屋根ではなく、片流れの屋根なんですね。これによって、屋根に降った雨は一方向へ流れ、そこに設けられた樋を伝って地面へと落ちていきます。このため屋根のどこかに水が溜まったりすることはありません。
将来的に屋根のメンテナンスをする場合も、このうっすらと傾斜が付いただけのガルバリウム鋼板の屋根というのは、扱いが楽チンです。
その屋根の下にはわずかな空間が設けられています。
次は外壁部分に注目。
スケルトンハウスの外観は木の板が貼られており、あの「木の箱みたいな感じが好き!」というお客様も多くいらっしゃいます。
でもあの木の板は、実は「仕上げ」の部分。大事なのはその奥にある下地なんです。ここにしっかりと防水性を持たせておかないと、家の寿命は長くはなり得ません。
スケルトンハウスでは、透湿性に優れつつも防水・防風効果の高いシートを用いています。これによって外界からの風をしっかりと遮断しながらも、室内の湿気は適度に透過させて、結露やカビ・腐食などを防いでいます。
防水シートの上に打ち付けてある横木は、外壁の板を貼るための下地。
このように、家にとっては「雨仕舞い」というのはとても大事な所。ここの始末がきちんとしていることが、長持ちする家には欠かせません。
一方、室内では、まだ処理されていないたくさんの管や配線がパスタのごとく天井から垂れ下がっております(笑)
これらも室内の設備工事と歩みを合わせながら、天井裏や室内壁の向こう側などしかるべき所に仕舞われていきます。
さて、次の工程は、レッドシダーの外壁を貼る所。いろいろ「スケルトンハウス」らしい外観になってきますよ!
第11回 だんだん、らしくなってきた!
遮るもののない広い青空と、山の稜線。
建設中の我が家を遠景から見渡せる、奥さまお気に入りのお散歩小道からのスケルトンハウスK邸です。
こないだまで白い防水シートに覆われていた所に、レッドシダーの外壁が貼られて、だんだんと「スケルトンハウス」らしくなってきました!
近寄ってみると、貼られた外壁から、管、管、管。
青いのは水、赤いのはお湯が通る管です。ここには、葉山住民の必須アイテム「外シャワー」を設置予定!
こないだ工事の始まったバルコニーもだいぶできてきました。ここから見えるのはどんな景色でしょう?フサフサと茂る2本の大樹越しに、葉山の山々、そして眼下にはお隣の敷地のみずみずしい芝生の緑。家の裏手に広がるスペースには、畑も作る計画。そこに実る作物や、その世話をする家族の姿も、よく見えそうです。
建物の裏手に回ると、こちら側はまだ進行中(笑)
当たり前ですが、この外壁の木の板も、板ごとに違う色味や長さを考慮しつつ、互い違いに自然な感じでずらしながら1枚1枚手作業で貼っていきます。やはりこういう所は、人間ならではの感性や感覚が必要なんですね。
一方、室内を覗いてみると、断熱材の上に石膏ボードが貼られ始め、仕上げに向かって整ってきています。室内の片隅には、出番を待つ仕上げの材料も到着し始めました。これは奥さまが自らいろんなカタログを研究したり、ショールームに足を運んだりしてセレクトした「コラベル」というモザイクタイル。さて、どんなふうに使われるのでしょうか?
内装工事の本格化まで、もう少し!
第12回 煙突に注目!
★2016年1月16日(土)17日(日)完成内覧会決定!★
詳細&お申し込み
----------------------------------
葉山の下山口、緑の小道の先に広がる100坪の広大な敷地に建設中のスケルトンハウスK邸。
Kさん一家がこの土地に出会ってから、約1年の月日が経とうとしています。
出会った頃は、まるでジャングルのように生い茂った樹木や笹薮で敷地の全容が全く分からないほどの荒れた状態、そこに崩れかけた古家が建っており、しかも接する道路は極細というなかなかに厳しい土地でした。
けれど、下山口に住んだ数年の間に、海にも出やすく山も身近で、友人たちもたくさん住んでいるこのエリアこそ、根を下ろすのにふさわしい「ホーム」だと確信していたKさん一家は、この土地に家を建てることを決意したのでした。
ジャングル状態の樹木や笹薮を取り払い、根っこも残さないように伐根、古家も解体してやっと更地になったと思ったら、今度は地面の中から大岩がゴロゴロ出てきたり。そんな苦難もみんなで乗り越えて、待ちに待った葉山町からの建築許可を受領、基礎から、いえ、そのずっと以前から数え切れないいろんな想いや出来事を積み重ねて来ました。
そんなK邸の外観が、ようやく姿を現そうとしています。
全体にレッドシダーの外壁を張り終えたK邸。
いよいよ…
足場が取れました!
青空に映える端正なフォルム。
注目すべきは、黒い長い煙突です。
そう、K邸には奥さまのたってのご希望で、薪ストーブが設置されるのです。
片や室内の方も、下地のボードは張り終わり、ここから設備の設置や仕上げの段階に入っていきます。どんな感じになるのか、本当に楽しみ。
家づくりも最終段階に入ったK邸。季節は秋から冬になろうとしています。
シンボルツリーの2本の樹も表情が変わってきました。
背の高い方は少しだけ黄緑に。そして背の低い方は赤に。
まるでKさんご夫妻が、仲良く寄り添っているようです。
第13回 仕上げのディテール
12月の終わり、葉山下山口K邸では、完成に向けての仕上げ工事が進んでいます。
新年早々にオープンハウスも開催予定。
室内の塗装も済み、トイレやお風呂、キッチンなどの設備も設置されました。
そして待望の…
薪ストーブも入りました!
設置場所は、ダイニングとリビングのちょうど間。どちらの空間にとっても存在感のあるポジションです。
これが奥さまこだわりの「コラベル」のモザイクタイル!
可愛い!
使用したタイルはなんと8種類もあるそうです。
彩り豊かに感じさせながらも、子どもっぽさやケバケバしさのない素敵な配色。色系統を大きく3つくらいにまとめつつ、その濃淡や色相のわずかな違い、ツヤとマットの質感違いなどで変化をつけているんです。センスの良さに脱帽!
この家のどこに使われているかは、完成後のお楽しみ。
この日は奥さまに立ち会っていただきながら、ここまでの施工のチェックと、細部のパーツの位置決めなどを行いました。
これは収納の扉につけるツマミ。奥さま自ら探してきた施主支給品です。
このように、スケルトンハウスではさまざまな施主支給を柔軟に受け入れています。インフィル(内装)では、施主自らがとことん主役となって自分達らしい家をつくってほしいと考えているからです。
弊社設計士と、実際に施工する工務店の現場監督と一緒に、玄関のシューズボックスのツマミ位置を決めています。
「扉が横に長いから、ツマミも横向きにしようかな」
そんな細かいことまで!と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、こうしたディテールの集積によって「家」は完成します。
好きなものが心地よい配置で集まれば、そこは愛すべき空間になります。
ハイセンスなインテリアショップでプロとして空間作りをしてきた奥さまだからこそ、それを見抜いているんですね。
「もうすぐ引っ越すんだよ!」
100坪の敷地を走り回るお子さんからも、新しい家で始まる新しい暮らしへのワクワク感が伝わってきます。
完成が待ち遠しい!
オープンハウスは、2016年1月16日(土)、17日(日)開催です。お申し込みはこちらから。
*葉山下山口K邸『樹のある家』完成内覧会詳細&お申し込み
第14回 【最終回】鉄の玄関ドアと巣箱
完成後の様子を、プロカメラマンの美しい写真でご覧ください。(Photo by 東涌宏和)
*WORKS 14「樹のある家」/エンジョイワークス一級建築士事務所 スケルトンハウス事例
----------------------------------------------------------------------------------------
葉山下山口の100坪の敷地に、ついにスケルトンハウスK邸が完成しました!
生い茂るジャングルに、極細の接道、地面の中から岩がゴロゴロ出土したり…本当にいろんなことがあったけれど、みんなで乗り越えて晴れてこの日を迎えることができました。
いちばん最後に取り付けたのは、玄関ドア。
Kさんのご近所友達でもある葉山のアイアン・アーティスト橋本大輔氏に、オリジナルで作ってもらったドアです。
延べ床面積33坪と過去最大級のスケルトンハウスであるK邸。この大きなサイズの建物や広大な敷地とのバランスで見ると、鉄製のドアの重厚さ・迫力がとてもマッチしている気がします。
*アイアン・アーティスト 橋本大輔さん/ヴェルクスタット・ヴァル
鉄のドアの隣には縦長の窓が開けられていて、ここから玄関に光もたっぷり入りますし、来客があった時も外の様子を確かめることができます。
この「守ってくれる」感じの重たさ、良いですね!
そして、外のデッキには、いつのまにかこんな可愛らしい巣箱が置かれていました。
まるで小鳥たちのためのスケルトンハウス!
Kさんお聞きしてみると、秋に葉山の森戸神社で開催されていた「ビッグハヤママーケット」というイベントで巣箱づくりのワークショップがあり、そこで2人の息子さんたちが作ったものだそうです。
K邸の敷地には、この土地に以前からあった2本の大樹をシンボルツリーとして残してありますから、巣箱をセットする枝には事欠きませんね!山が近い下山口では、どんな小鳥たちがやって来るのでしょう。
海にも山にも近く、友人家族も近所にたくさん住んでいて、豊かな自然環境とコミュニティに丸ごと包み込まれるような葉山町下山口。
Kさん一家が愛してやまないこの場所に、スケルトンハウスとともにしっかりと根を下ろせることを、我々も心から嬉しく思います。
この先も、敷地の一角に畑を作ったり、小屋を建てたりと、プランはまだまだ続く予定。子ども達の成長とともに変わるであろうこのK邸の10年後、20年後も楽しみです。
ひとまずの完成内覧会は、いよいよ今週末1/16(土)、17(日)10:00〜15:00。家づくりへの夢が膨らむこと間違いなしのK邸へ、ぜひお越しください。
*スケルトンハウス葉山K邸「樹のある家」完成内覧会 詳細&お申し込みはこちら