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BLOG「葉山K邸「前庭のある平屋リノベーション」」

第1回 前庭のある平屋

2016/01/29 Fri

湘南エリアに住みたいと願う人の中で、「平屋」への特別な想いを持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

都心から電車で1時間ほどの距離でありながら、このエリアに流れる時間は明らかに遅く、太陽の眩しさや温度、風の匂い、空の色、植物たちの勢いや、地元の新鮮な食材に宿る生命力など、私たちが力強い自然の中で生きていることを、一瞬ごとに気づかせてくれるような気がします。

こちらに来ると、増していく自然の力と反比例するように、私たちを縛っていた緊張感やエゴみたいなものは消えていき、私たちはいつのまにか緩んで自由になっている自分自身に気がつきます。久しぶりに、ホッと息がつける感じ。隙なく全てが決まっているんじゃなくて、構えず気張らず、柔らかくゆるい感じ。それは言い換えるなら、ありのままを許す、という感じ。その時、自分の中に生まれるとてつもない充足感と優しさ。

「平屋」には不思議と、こういう気持ちを誘う空気が漂っています。なぜでしょうね?

葉山の海と山のちょうど真ん中、堀内という場所に、広々とした前庭のある築55年の平屋があります。
青空に映えるオレンジの瓦屋根がチャームポイント。
大工さんが2年の歳月をかけて丁寧に建てたというこの平屋は、半世紀を経てもなおしっかりとした確かさで、ここに存在しています。

南側にはその庭に続くテラスがあり、暖かい陽射しがたっぷりと降り注ぎます。
以前の持ち主が敷いた芝生の青さが美しいこと。
誰が見ても思わず「気持ち良さそう~!」と言いたくなる、素晴らしい趣。

室内はとてもきれいで、大切に使われてきたことが伺えます。

この広い前庭のある平屋を、Kさんというお客様がとても気に入り、購入されました。

Kさんは、この平屋を一目見るなり、「これだ!」と思ったそうです。
オレンジ屋根の抜群の可愛らしさ。広い芝生の庭では好きなことがなんだってできそうだ。建物も立派で、ちゃんと建てられ、大事にされてきた感じが伝わって来る…。
Kさんは、すっかりこの平屋が大好きになってしまいました。

この家の良い所を活かしながら、もう少し住みやすい形にリノベーションし、海にも山にも近いこの場所で、葉山での生活を思いっきり楽しみたい!と購入を決意されたのです。

奇しくも、この平屋と目と鼻の先にある場所では、もう一つ別の古家(築年数不詳)のリノベーションも同時に始まることになりました。そちらの方は、広い敷地に母屋と小屋があり、その両方を生まれ変わらせます。
*葉山T邸「小屋つき古民家フルリノベーション」

現場が近いということと、施工に関する確かな腕前への信頼から、この2軒のリノベーションは、ダブルボックスさんにお願いすることになりました。また、同じく非常に古い建物であるため、どちらにも構造補強の調査&アドバイザーとして、中古住宅調査の専門家である小柳理恵さんに入っていただくことにしました。

*施工:ダブルボックス
*住宅調査・構造補強アドバイス:小柳理恵さん/和温スタジオ

さて、この平屋がどのように活かされていくのか、楽しみです!
進捗は当ブログで随時ご紹介してきます!

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第2回 古い家に敬意を払って

2016/02/05 Fri

南からたっぷりと降り注ぐ日差しが気持ち良い、葉山町堀内の築55年の平屋。購入したKさんへのお引き渡しが済み、どのようにリノベーションしていくかが現地で話し合われています。

なぜか自然と縁側に集まっちゃうあたり(笑)、この場所がこの家の特等席であることを示してますね~。

家2軒分もあろうかという広い前庭、大切に住み繋がれてきた家屋。
これからここで始める新しい暮らしをイメージしながら、ライフスタイルをプランに落とし込んでいきます。

プランが固まったところで、必要な部分の解体工事が始まります。
間取りを変える部分は壁を取り払ったり、年月の中で傷んでしまって除去の必要がある部分は壊したり。
当然ながらこれらは全て、手作業で行われます。
一つ一つ、余計なところまで壊したりしないように注意深く。

大きな重機で家ごと壊してしまった方が、それはもちろん早く楽に済みます。けれど、古い家だからこそ宿っている無二の味わいを生かしたいという時、この繊細な作業は不可欠です。

そして、その解体がひと段落する頃、改めて地鎮祭が開催されました。

この家を大事にしてきた代々の持ち主に敬意を払いつつ、神様に、リノベーション工事の無事と、その後も末長く安らかに暮らせるようにとの願いを込めて、祭壇とお供え物を設えます。

そしてお祓い。
この家に満ちている「気」が、ますます清々しい良いものになりました。

解体後に現れた小屋裏の美しいこと。
かつて大工さんが2年もかけて丁寧に建てたという仕事ぶりが、55年の時を経てもなお色あせることなく伝わってくるようです。

この家がKさんの元に来るまでに経てきた、たくさんの人の思いや愛情。それなくしては、こういった古家はこのような良い状態で残っていくことはできません。今までのそのご縁に感謝しながら、生まれ変わるための工事が始まります。

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第3回 新たな大黒柱

2016/02/28 Sun

葉山町堀内にある築55年の平屋K邸では、こういった古家リノベーションにあたって最も重要と言っても良い、躯体の調査&補強工事が行われることになりました。
中古住宅調査のプロである小柳理恵さんと、実際に今回の施工を手がけるダブルボックスの和田さん、そして設計士が解体後の現場に入り、家の構造を調査・検討します。

小柳理恵さんは、今まで数多くの古家リノベーションを手がけてきた、住宅調査と構造補強設計のプロ。躯体の構造を見極め、基礎は十分に頑強か、床下や地盤に問題はないか、どこの壁や柱は取っても良いか、逆に取ってはいけない壁や柱はどれか、シロアリの害はないか、屋根は健全かなど、人が安全に暮らせる躯体にするために補強するべき箇所を見極めます。
*小柳理恵さん/和温スタジオ

一方、施工を行うダブルボックスの和田さんは、住宅はもちろん大きなビルや店舗も含め、あらゆる箱の建築やリノベーションに精通したベテラン。長年の施工経験で培った技術や、いわゆる「勘所」のような優れた知恵をたくさん持っています。
*ダブルボックス


リノベーションというと華麗なるビフォー・アフターの変貌ぶりが印象に残りがちですが、見えている所というのは言わば表面の飾り。その前に、この躯体の状態をいかに良いものにするか、ということが、この先また数十年この家を住み繋いでいくためには重要なのです。エンジョイワークスのリノベーションでは、この「良い箱(躯体)をつくる」という所を大切に取り組んでいます。
*エンジョイワークスの中古戸建リノベーションサービスを見る

今回のK邸では、南側の庭に面した部屋の間取りを変えることにしました。
今までは3部屋に分かれていたのですが、あの日差しが降り注ぐ特等席をもっと思いっきり楽しみたい!ということで、壁を一旦取り払い、東側には大空間のリビング・ダイニングを、西側には子ども部屋やゲストルームなどを設けることになりました。
この仕切り直しによって、リビング・ダイニング部分にあった壁は無くなるわけですが、それによって家の構造上、荷重が集中するポイントにある1本の柱をかなり強化する必要が出てきました。今まで壁にも依存していた耐力が、一挙にこの柱にかかってくるためです。
補強としては、今回の場合は既存の柱を四方から新しい柱で囲むようにし、束で支えることにしました。梁に接する所にも斜めに方杖を入れて補強します。

この柱の補強は、工事を進める中で必要だと分かった部分です。
このように、中古戸建のリノベーションでは、あらかじめ調査やプランニングはしているものの、工事が進む中で現れてくるバランスの変化や新たに見つかる諸問題に対して、その都度柔軟に対応を講じていく必要があります。
そんな変更やブレ幅もある程度予測に入れて、資金にも気持ちにもバッファーを持たせて取り組むことが、古家リノベーション成功のポイントです。


小屋裏には断熱材も入れます。
平屋だからこそ、屋根からの暑さや寒さはダイレクトに室内環境に影響を与えますんもんね!
布団みたいにモコモコ!

こうして築55年の平屋は、その味わいのある趣を残しつつ、Kさんの新しいライフスタイルに寄り添うように、より強度と快適性を増していきます。

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第4回 古い柱を見せる「真壁」

2016/03/10 Thu

葉山の太陽がたっぷりと降り注ぐ、広い広い前庭のある平屋K邸。
その昔、大工さんが腕によりをかけて、2年の歳月を費やしながら丁寧に建てられたこの家は、それから代々の持ち主にも大切に住み継がれ、縁あってKさんが新たなオーナーとなりました。

初めてこの平屋を見た時、「これだ!」と一目惚れしてしまったというKさんご一家。リノベーションを施すことは決めていたものの、元の家自体を心から気に入っての購入です。手を入れたとしても、この家の古き良き味わいを良い形で引き継ぎたいという思いがありました。

そんなK邸では、ダブルボックスの和田さんを中心に、リノベーション工事の真っ最中。
部分的な解体を経て、躯体の補強&再構築が佳境に入っています。
今回も、事前に中古戸建て調査&補強アドバイスの専門家 小柳理恵さんと一緒にしっかりと躯体を調査し、プランを立ててあるものの、古家リノベーションは本当に「開けてみるまで分からない」という部分があります。そのような不測の事態にも柔軟に現場対応していきながら工事を進める懐の深さや経験値が、施工者には不可欠。
この日も、その場でアレンジを考えながら工事が進められていました。

*中古住宅調査&補強アドバイス:小柳理恵さん/和温スタジオ
*施工:ダブルボックス


さて、室内壁の下地の施工に突入です。
いつものようにプラスターボードを張るわけですが、今回のK邸ではその張り方がいつもと違います!
柱の表面がボードの外に露出していますね!
通常ですと、柱を上から覆うように張るのですが…。

「これは『真壁』と言う壁の作り方です。昔の日本家屋などに多く見られるやり方ですね。柱の真ん中に壁が来るように施工するんです。K邸では、既存の古い柱の味わい深い表情を見せるために、このようにしたんですよ」と弊社設計士。

天井を見上げると、そこも同じように、古い梁が天井ボードから見えていました!
しかもこの梁、自然の木の形をそのまま生かしたような梁であるため、柱とボードの境目が不定形になっています。

「まるで天井に自然の木を埋め込んだように見えるでしょ? ところが、実際の施工はその逆で、もともとあった梁の形にぴったりと添うように、天井ボードを手作業で切って加工しているわけです」

なるほど~!
職人さんのなせる技だったわけですね!

やはりこのように古い柱や梁が見えていると、この家が経てきた長い年月が、この空間にそこはかとなく漂う気がします。まさに「住み繋ぐ」感じ。

お施主Kさんも現場に立ち会っていただきながら、仕上げのディテールも決定していきます。
これは壁の塗装の色を選んでいるところ。
濃い青か、水色か。
しかしちょっと極端なこの2拓ではなく、この中間くらいの他の青を見てみようということになりました。Kさんの頭の中にある「青」のイメージに近づけていきます。

一方、奥さまは玄関を入ってすぐのところにある壁に設置するコートフックの高さを検討中。
こういった生活のソフトに直結するものは、図面の数字よりも体感がいちばんです。

このような工程を繰り返しながら、次第にこの築55年の平屋は、Kさんたちの暮らしに寄り添う家へと変化を遂げていきます。

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第5回 【最終回】完成しました!

2017/07/02 Sun

完成後の様子を、プロカメラマンの美しい写真でご覧ください。(Photo by 東涌宏和)
*WORKS 15「平屋の広がりを生かす家」/エンジョイワークス一級建築士事務所 リノベーション事例



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