人生に、余裕という名の魔法をかけましょう。

ハタチの時にたまたま目に入った駅のポスター。
「プロの男女は、差別されない。」
たしか、“とらばーゆ”という雑誌の広告だったと思う。
男女雇用機会均等法ができた頃の話。

このキャッチコピーに心をズキュンと打たれた私は、
このときはじめてコピーライターという仕事を知った。
コピーライターになりたい！直感的にそう思った。
バイトしてお金をためて、宣伝会議にも通った。
でも全然才能がないからコピーライターにはなれなかったけど（笑）、

それこそ意地で、
少しでもコピーライターという職業の近くにいたくて、
恐ろしいほどのガッツで大手広告代理店に就職した。

それから、死ぬほど働いた。
とにかく認められたくて。
まわりの才能がある人たちに負けたくなくて。
職業として、性別関係なくプロフェッショナルになりたくて。
そしたら、あっとゆう間に40歳手前になっていた。

お察しの通り、恋なんて忘れ（というか、する時間がなかった）
31歳で別れたっきり、彼氏はいない。もちろん独身。
私の相棒は、たまたま仕事帰りに
銀座のペットショップの前を通り過ぎたときに目が合った
なんともブサイクなフレンチブルドック。
困り顔がおかしくて、可愛くて、忘れられなくて
次の日、意を決して買いに行った。名前は「ハンサム」。
ハンサムがきてから、家では肩の力が抜けるようになったけれど、

39歳の誕生日のときに、フッと、
「このままはヤダ」と思うようになった。
仕事だけの人生で終わる。ヤダヤダヤダ。
もっと、自分のやわらかい部分とか大事にしてあげたい。
自然の近くで、身心ともにリラックスして本当は暮らしたい。
ハンサムにだって、もっと元気に走り回れる環境を
あたえてあげたい。そう思ったとき、かつて、
自分がディレクションした女性用マンションのコピーを思い出した。


“人生に、余裕という魔法をかけましょう。

あ、いい風がふいている。
そう感じさせる女性に共通しているのは余裕です。
それは自分と向き合い、人生におけるプライオリティを
明確にした人だけが醸し出す、澄み切った空気のようなもの。

たとえば、自分の居場所を手にした女性。
努力の対価を所有した自信に、間に合わせの住まい、
間に合わせの家具に囲まれていた仮の人生との決別が
揺るぎない余裕を生むように感じます。
理想をふんだんに盛り込んだ、宝箱のような住まい。
さあ、あなたの人生に、余裕という魔法をかけましょう。”


コピーライターは北野早苗さん。天才だと思う。
10年前につくられたコピーなのに、今の自分に、すごく刺さる。
むしろ、泣ける。そう、私は、がんばった。
だから、自分にご褒美をあげてもいいんだ。

そう思って、鎌倉で土地をさがした。
いつか、海のそばで暮らしたいと思っていたから。
ハンサムも私も、気軽に海に散歩へ行けて
美味しい食材（野菜やおさかな！）が手に入って
駅までも遠くなくて、美味しいお店もそこかしこに点在している。
それを全部叶える「材木座」にお庭がとれる土地を買った。

どこで家を建てるかは、むちゃくちゃ悩んだけれど、
10件ビルダーを回って、技拓に出会い、
平屋のスケルトンハウスを建てることに決めた。
家は、おおきくなくていい。だってハンサムと2人暮らしだし。
でも、質感は本質的にいいものじゃないと嫌。
だから、この家を選んだ。

いつまで住んでるかなんてわからないけれど、
ハンサムが死ぬまでは、ここで暮らしたい。
ハンサムが天国に移住したら、私はハワイに移住して、
のんびり暮らそうかなんて、なんとなーく思っている。

海にも駅にも近くて、庭がある50㎡の平屋。
絶対、売れるでしょ！笑　資産価値、あるある。

鎌倉に移住して、だいぶ生き方も変わって
びっくりするけど、10年ぶりに彼氏ができた。
本当に、人生、何があるかわからない。
醸し出す余裕のおかげ？笑

今は、とにかく、毎日を楽しもうと思う。

ビビディ・バビディ・ブー！


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